どうももりぞうです。
今回は以前記事にしたピレリのチューブレスタイヤがとうとう発売されたので、クリンチャーモデルのP ZERO VELOからの変更点や重量面、ここは他のメーカとは違うなと思ったところがあったのでそれについて話していこうと思います。
以前の記事はこちら
![](https://sramroadbikeblog.com/wp-content/uploads/2020/03/oJSaedLF9ramye3Rhc98GP-1024-80-160x90.jpg)
今回ラインナップされたのは、正統進化のピレリ P ZERO RACE TLRと 軽量化と転がり抵抗削減を重視して作成されたピレリ P ZERO RACE TLR SLの2種類になります。
クリンチャータイヤからの大きな変化は、下記の4点と言えるでしょう。
・トレッドパターンのアップデート
・コンパウンドのアップデート
・耐パンクベルトのアップデート
・タイヤのサイズラインナップの変更
・ケージングの変更
1つ1つ見ていこうと思います。
トレッドパターンのアップデート
トレッドパターンがより最適化されました。
P ZERO VELOと P ZERO RACE TLRでは、トレッドパターンに大きな変更はありませんでしたが、P ZERO RACE TLRとP ZERO RACE TLR SLではトレッドパターンが大きく異なります。
画像を使って良く見てみましょう。
左から順に、P ZERO VELO 、P ZERO RACE TLR 、P ZERO RACE TLR SLになっています。
P ZERO VELO とP ZERO RACE TLRは稲妻のようなトレッドパターンを使っているところは変わりませんが、稲妻のようなトレッドパターンの位置がよりサイドに移動されているように見えます。
稲妻のようなトレッドパターンの間に斜線のトレッドパターンが追加されていると移転が大きな変更点でしょうか。上から見ると左右で稲妻と斜線が並ぶようなトレッドパターンになってますね。
P ZERO RACE TLR SLはトレッドパターンがかなりシンプルになってます。
真ん中に2本線が入っているだけです。まさに軽量なTTタイヤやヒルクライムタイヤといった佇まいです。
コンパウンドのアップデート
コンパウンドは、P ZERO VELOで使用されていたSmartNET™ Silicaに改良を加えたSmartEVO Compoundが P ZERO RACE TLR、P ZERO RACE TLR SL共に使用されています。
ピレリによるとSmartEVO Compoundは低い転がり抵抗を維持しながら、ドライおよびウェットコンディションでのグリップが改善されたようです。
耐パンクベルトのアップデート
耐パンクベルトは、P ZERO VELOで使用されていたアラミド繊維を使用したケージングから、P ZERO RACE TLR、P ZERO RACE TLR SLでは新開発のTECHWALL,TECHWALL+ケージングを使った耐パンクベルトにアップデートされています。
P ZERO RACE TLRにはTECHWALL+、軽量モデルのP ZERO RACE TLR SLにはTECHWALLを使用しています。P ZERO RACE TLR SLではTECHWALL+ではなく、TECHWALLのみにすることで重量の削減、および転がり抵抗の削減をしています。
耐パンクベルトがなくなることで重量が削減されるのは分かります。パーツが一つ減りますから。
転がり抵抗削減にもつながるというのは、個人的に少し意外です。転がり抵抗とは、基本的にはタイヤの変形によって失われるエネルギーのことですから、耐パンクベルトがあるほうがタイヤの変形が抑えられるような気がします。ちょっと不思議ですが、メーカー曰く削減されているとのことなので
第三者機関の測定データが楽しみなところです。
タイヤのサイズラインナップの変更
個人的に一番驚いたのは、タイヤサイズラインナップの変更です。
P ZERO VELOでは23C,25C,28Cというトラディショナルなサイズでラインナップされていましたが、P ZERO RACE TLRでは、24C,26C,28C,30C、P ZERO RACE TLR SLでは24C,26C,28Cという
最近増えているサイズラインナップに変更になっています。
また、ピレリは今回タイヤを選ぶ上で重要なデータを2つ公開しています。それは、各タイヤごとの各ライダーの体重に対する適性空気圧と、ホイールの内幅に対するタイヤの実測幅です。
タイヤの実測幅のデータはピレリの今回のタイヤへの本気度と買う前に自分が使っているホイールに対してP ZERO RACEタイヤがベストなタイヤかどうかを判断できるようになります。
タイヤの空力を考えた時にリム幅に対するタイヤの幅の影響が80%を占めるというCyclingWeeklyの研究データがあります。また、ZIPPが発見した105%ルールというものがあり、この105%ルールとは、ホイールのリム幅は、タイヤの幅の105%以上を確保しないと空気抵抗が悪くなるというものです。
この2つのデータよりいえることは、タイヤとホイールの空力を考えた時、ホイールのリム幅とタイヤ幅はかなり重要そうだということ。
つまり、ピレリのデータから、自分が使っているホイールにとって空力を考えた時最も良いタイヤは何Cを選べばよいか分かると言えます。
僕が使っているHUNT4050カーボンホイールの外幅27mm内幅19mmです。
HUNT4050を購入した経緯の記事は下になります。興味があったら是非
![](https://sramroadbikeblog.com/wp-content/uploads/2020/05/2020-03-14_12-58-45_583-160x90.jpg)
105%のルールを考えると、27:105=X:100より、X=25.7mmまでのタイヤ幅までは空力が良いタイヤ幅と言える。上のピレリのデータから見ると内幅19㎜なので24Cタイヤが空力的にベストと言えそうだ。もちろん空気圧によってタイヤ幅は変化するため本当にベストとは一概には言えませんが、
タイヤを選ぶ上で大きな助けになってくれそうです。
このデータを公表したことでピレリは、タイヤの空気抵抗について結構考えているブランドだと感じる。流石はF1の世界で有名なブランドと言えます。
ケージングの変更
P ZERO VELOでは127tpiでしたが、P ZERO RACE TLR、P ZERO RACE TLR SLでは、120tpiに変更になっています。
tpiとはケーシングが1インチあたりに何本あるのかを示しています。
つまり、P ZERO VELOでは1インチ当たりにケージングが127本あるということになります。
P ZERO RACE TLR、P ZERO RACE TLR SLでは1インチ当たりにケージングが120本あると言ことになります。
一般的にはTPI値が高くなればなるほど、しなやか且つ軽量になり、転がり抵抗が低くなり、その分耐久性は低くなります。TPI値が低いと耐久性が高い傾向にあります。
かの有名なコンチネンタルのGP5000は330TPIとTPI値がかなり高いですが、転がり抵抗は低いですが、いうほど軽量でもなくしなやかではありません。また耐久性はピカイチです。
なので、あくまで一般的な傾向であり、タイヤにはケージングとコンパウンド等様々な要素が絡まっているため、一概に評価することは難しいです。
TPI値が低くなっているということは、耐久性はP ZERO VELOより上がっていそうです。
重量と構造の変化
最後に重量と構造の変化を見ていこうと思います。
P ZERO VELOとP ZERO RACE TLR、P ZERO RACE TLR SLの重量を比較すると下の表のようになります。()の中身はP ZERO VELOと比べた重量増の値です。
P ZERO VELO | P ZERO RACE TLR | P ZERO RACE TLR SL | |
23Cと24Cの比較 | 195g | 245g(+50g) | 230g(+35g) |
25Cと26Cの比較 | 205g | 270g(+65g) | 245g(+40g) |
28Cと28Cの比較 | 230g | 295g(+65g) | 275g(+45g) |
P ZERO VELOと比べて、P ZERO RACE TLRでは、平均値で重量は1.3倍、P ZERO RACE TLR SLでは、平均値で重量は1.2倍となります。タイヤサイズが違うため100%の比較とは言えませんがTLRタイヤとしては一般的と言えるでしょう。
次に、構造の違いを見てみたいと思います。
各層の比較でみてみると構造レベルで、かなりのアップデートが加えられていることが分かります。
ぶっちゃけ、かなり別物なんじゃないかと思います。
P ZERO RACE TLRとP ZERO RACE TLR SLの最下層のケージング層は織り込むような形に成っているので結構柔軟に変化してくれそうです。かなりしなやかなんじゃないかと思います。
2番目の層がTECHWALLそうなんじゃないかと思います。
P ZERO RACE TLRとP ZERO RACE TLR SL両方にあるそうなので、TECHWALLそうなんじゃないかなと。一般的なタイヤの耐パンクベルトは、中心にあるだけです。
仮に、この層が耐パンクベルトだとするとサイドのパンクにもかなり強いんじゃないかと思います。
P ZERO VELOとP ZERO RACE TLRにあるオレンジ色の層が一般的な耐パンクベルトになります。
P ZERO RACE TLRでは+層(笑)なんじゃないかと思います。
構造面で見るとP ZERO RACE TLRとP ZERO RACE TLR SLの違いはこの+層だけなのでここが重量面の違いを生んでいると言えそうです。
まとめ
クリンチャーモデルであったP ZERO VELOが出てから、はや3年ベールを脱いだチューブレスレディモデルのP ZERO RACE TLR、P ZERO RACE TLR SLの性能を構造面から見てみました。
個人的には、かなり大掛かりな変化を遂げていて今一番注目度が高いタイヤになりました。
ミッチェルトンスコットとトレックセガフレードが最初にレースでこの2つのタイヤを使うのは、
グラベル区間があるストラ―デビアンケか石畳で有名な北の地獄パリルーベのどちらかなんじゃないかなぁと思います。
ピレリは海外通販で安く買えることが多いので、WIGGLEかBIKEINNに販売されたら購入してインプレッション記事を書きたいと思います!
是非、おたのしみに!